SMAP『COOL』1995

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お家騒動というのは外から見てる分には興味をそそるもので、去年は山口組、そして今年は頭からジャニーズ事務所である。ふだんはブラックボックスとなっていて、内部の事情を知ることはなかなか出来ないのだが、こういう機会ならでは内部事情を詳らかにした記事もいくつか出ており、興味深く読ませてもらっている。なかでも以下の記事は非常に勉強になった。

 

やや扇情的なタイトルなので抵抗を感じられるかもしれないが、基本的な中身は、ジャニーズ事務所におけるSMAPの功績について述べた現代芸能史である。大筋としては、90年代のアイドル氷河期、すでにダサいものとして衰退を辿っていたジャニーズ事務所において、SMAPは完全に新しいアイドル像を打ち出すことに成功し、そのアイドル像、手法を踏襲することで以降のグループも成功を収め、今日のジャニーズ事務所の隆盛がある、という話である。SMAPがアイドル像をリブートしたことについては以下の記事も参考になるだろう。

 

これらの記事を読んで、かねてから抱いていた一つの謎が解決した。それは以下のアルバムについてのものである。

COOL

COOL

 

 

これはSMAPの最初のベスト・アルバムなのだが、シングル曲をそのまま集めたものではなく、なんとわざわざ生演奏によって再アレンジ、再録がなされている。しかも、その演奏を担当しているのがフュージョン・ジャズの大物ばかり。楽曲もファンキーなものが多く、なぜカビの生えた事務所アイドルのアルバムなのにこんなかっこいいのか?どうしてブラック・ミュージックのテイストを感じさせるものが時間とお金をかけてつくられたのか?と、ずっと不思議に思っていたが、飯島女史が仕掛けた新しいアイドル像の構築の一貫として、このように今でも一聴の価値があるサウンドを持ったアルバムに仕上がったと考えれば腑に落ちる。

(以降もブラック・ミュージックへの接近は少し続くが、それからはJ-POPムーヴメントに合流するので(e.g.スガシカオ夜空ノムコウ」)、SMAPで愛聴している作品はこれのみである。)

 

現代のポップ・カルチャーは移り変わりが極端に早いため、自身が多感な時期に流行っていたものを特別視してしまいがちなのだが、私がSMAPを少し贔屓目で見ていたのは、それだけではなかったようだ。

すごいリッパになって

すげーいい服着ても

モロにころべば痛い

そんなもんだよね

Hey Hey Hey Girl

いつの日にか また幸せになりましょう

Hey Hey Hey Boy

かっこわるい 朝からとにかく始まる

 

SMAP「がんばりましょう」