『戦火の馬(War Horse)』ナショナル・シアター・ライヴ
「ナショナル・シアター・ライヴ」にて鑑賞。マイケル・モーパーゴ原作、マリアン・エリオット、トム・モリス演出。主人公の馬のパペットは南アフリカ共和国のハンドスプリング・パペット・カンパニーによる。2007年の初演以来人気を博し、ロングラン。2011年にはスティーヴン・スピルバーグによって映画化。
本作の大成功が、ハンドスプリング・パペット・カンパニーによるパペットの出来と人形遣いの妙技にあることは疑いない。映像でもこれだけ興奮するのだから、その技を一目見たいと連日劇場に人々が詰めかけるのは十分納得できる。パペットの操作に賞賛が集まりがちだが、我々がパペットに「馬」を感じるのは、彼らの類稀な擬声によるものだろう。その吐息、鳴き声。誰が見ても作り物とわかるパペットに、どう聞いても馬のものとしか思えないその擬声が重ねられてこそ、舞台上に「馬」が出現する。*1
0:20頃〜
文学座アトリエの会『弁明』(作 アレクシ・ケイ・キャンベル、演出 上村聡史)@ NHKプレミアムステージ
美術史家クリスティンの誕生日。彼女の家に、長年の友人ヒュー、銀行に勤める息子ピーターと恋人のトルーディ、二男サイモンの恋人で女優のクレアが集まってくる。サイモンはなかなか姿を現さない。60、70年代に数々の反戦運動、労働闘争に参加したクリスティンは、男性優位であった美術史研究の世界で成功を収めた。最近、回顧録を出版したのだが、その内容が誕生日に波乱を巻き起こす。(公式サイトより)
先日NHKで放映されたものを鑑賞。テレビ画面では役者も舞台装置もよくわからなかったので、主に戯曲について。やっぱり演劇は劇場で見たい…
作品の二つの主題、60年代という「政治の季節」の問い直しと壊れた母子関係がうまく絡み合っていたようには思えなかった。特に後者の母子に関わる話はもっと練れるのではないか。ふたつを接合させること自体は正しいと思うので、残念。
だがそれとは別のところで、60年代を生き、バリバリのマルクス主義者=無神論者で宗教を毛嫌いするクリスティンと、菜食主義者で熱心な福音派でアメリカ人(すべてバカの記号)という極めて現代的な長男の婚約者トゥルーディそれぞれが語る「信仰」についての議論は興味深かった。
続きを読むハースストーンプレイヤーズ記者が選ぶ ベストデザインカードTOP5(Five Well-Designed Hearthstone Cards)
Hearthstone PlayersのNuba氏が選んだ、優れたカードデザインを持つ5枚を紹介します。この5枚というのは、氏がブリザード社のゲームデザイナー職に志願した際にブリザード側から出された課題だそうです。文章はプレイヤーではなくブリザードの開発者に向けて書かれてるところは注意してください。TOP5というかたちですが順位はなく、5つの理由をもとに各々一枚ずつ選んだようです。元記事は氏が提出した志願書の全文となっているので、興味がある方はそちらをどうぞ。
続きを読む『ハード・プロブレム(The Hard Problem)』ナショナル・シアター・ライヴ
「ナショナル・シアター・ライヴ」にて鑑賞。劇作家トム・ストッパードの9年ぶりの新作を、ニコラス・ハイトナーがナショナル・シアター監督最後の作品として演出を手掛けた。
続きを読む前回までの『ラブライブ!サンシャイン!!』 9話の酒井和男の演出について(前編)
先日、12話が放映され『ラブライブ!サンシャイン!!』も愈々あと1話となった。ここまでは脚本家の作品という印象。ストーリーが練られているのはいいのだが、全体的に台詞で説明してしまおうという傾向が強い。映像作品なのだから画面で語って欲しい。ラブライブは(1期のように)本質的にはミュージカルであれ、というのが個人的な希望だったが、それはやはり京極尚彦の特質だったようだ。
とはいえ、本家でも絵コンテを受け持った古田丈司(4、10話)や渡邊哲哉(11話)の回はやはり面白く、最終話前に作品の評価を下すのは早計だろう。今回は、『サンシャイン!!』の監督である酒井和男が絵コンテを担当し、かつおそらく最も気合が入っていたであろう9話の演出を少し見てみたい。
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